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「・・・・ねぇ、彩女」 「なんですかアメティスタ・・・よいしょっと」 「・・・・二人っきりだね」 「そうですね・・・・っと」 「バトルなんかやめてさ、二人でどっかいこうよ。ほらあそこ、ホテルあるよ」 「そうですか・・・・・・・よっと」 「・・・・・・・・おっぱい揉んでいい?」 「駄目です」 * ホワイトファング・ハウリングソウル * 第十三話 * 『黒衣の死神』 『都市ステージ』を、彩女とアメティスタは歩いていた。 ・・・いや、正確には歩いているのは彩女だけである。アメティスタは歩いていない。 ならば彼女はどうしているのか。 彩女におぶさっているのである。 「・・・いくらなんでもですね。・・・・よっと、こういう時くらい二本足にしたらどうですか・・・・っと」 「ヤだ。だってこのヒレはボクのトレードマークだよ? アイデンティティなんだよ? それに二本足にするには声を魔女にあげないといけないし」 そういうアメティスタの足は今もイーアネイラの装備であるティティスだった。これでは陸上で歩けないため彩女が背負って水場まで運んでいる。 「そもそも水中戦でもないのにイーアネイラ装備なのがおかしいんです。・・・っと。エウクランテだって水中専用じゃないんですよ。・・・よいしょ」 「知ってるけどさ。でもこれは外せないね。ある意味ボクの決意の証みたいなもんだし」 「だからって・・・っと。今襲われたらどうするつもりですか・・・っしょっと」 「大丈夫だよ。ボクらが敵に遭遇するのはピッタリ五分後、彩女がボクを公園の池に運び終わるのが今から二分後。三分の余裕があるよ」 「・・・便利ですね予知能力・・・・っと」 そう、今彩女とアメティスタは公園を目指している。 アメティスタが入れて戦えるような場所がそこしかなかったからだ。 ・・・余談だが戦闘用に武装をしたアメティスタは結構重い。今こうしている間にも、彩女の体力は削られ続けているのだ。 「便利とはいっても、このバトルの結果は見ないようにしてるよ。だってつまらないじゃん」 「それもそうですね・・・・よいしょっと」 彩女は掛け声と共にアメティスタを背負いなおす。 公園はもう少しだった。 「・・・・うん。ヴァーチャルとは言えやっぱり水に浸からないとね」 無事公園に着き池に入ったアメティスタはそういいながら水をすくった。 彩女はとっくの昔に公園を出て、敵を探している。 あと一分もすれば天使型の一撃を食らうだろう・・・・どうなるかはあえて予知しなかった。その方が面白いからだ。 「~♪」 彼女は鼻歌を歌いながらプチマシィーンズに指示を出す。その数凡そ十三。 公園中に散ったプチたちはそれぞれのポジションにつき、情報を送ってきた。 「・・・・ふぅん。西から来たか。とりあえず公園に入ったから・・・結界をはるか。あとはボクの闘いだね」 アメティスタがそういうと同時に、公園内に霧が立ち込める。 なんてことはないただの霧だ。 「・・・煙幕のつもりかしら?」 と、その霧の中、アメティスタのものではない声が響く。 声のしたほうへとアメティスタは顔を向け・・・一瞬その顔が強張る。 「煙幕じゃないんだけどね。・・・まぁ、似たようなもんかな? 始めまして、ボクはアメティスタ。キミは?」 「わたしの名前はルシフェル。悪魔型のルシフェルよ」 軽く霧が晴れ・・・ルシフェルの異形が姿を現す。 足はザバーカが装備され、素体の両腕はチーグルを装備している。その両手には巨大なリボルバーキャノンを持ち、腰にはデスサイズがマウントされていた。しかしなんといっても目を引くのは背中に取り付けられた巨大な羽であろう。 蝙蝠を思わせるそれは、正しく悪魔型たる彼女のために作られたかのように存在していた。その漆黒の羽は夜の闇を思わせる妖しげな色だった。 「・・・・いい趣味してんじゃん」 「それはどうも。それよりもそろそろ始めない? わたし達今日中にあと三回も戦わなくちゃいけないの」 ルシフェルはそういって、リボルバーキャノンの撃鉄を上げる。 「・・・いいよ。それじゃぁ・・・始めようかっ!!」 武装神姫・イレギュラーキャンペーンバトル アメティスタ対ルシフェル・・・開戦 前・・・次
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武装神姫のリン 番外編 「勇者特急!?」 今日は休日。 ということで皆で出かけようと思っていたのだが……あいにくの雨。 結果家でごろごろすることになった。 でリンと茉莉は昼食を作っている。 俺とティアはヒマなのでネットを(エルゴ特製の通信ユニットで訓練機の機能を使ってカメラアイに直接ページが表示されるように改造されている)していた。 するとティアが俺のPCにあるページを表示した。 「さあ、これで君もGとjになろう!! ガオガイガー&キングジェイダーセット!」 ……目が点になった。 「なあ、ティア、これ欲しいのか?」 「もちろんです。最近ネットを騒がせているGと突然現れた彼女の仲間。Jになりきれるセットですのよ。これをお姉さまといっしょに着るのです。」 まあたしかに、リンとティアはちょうど黒と白だけどな……値段は……6万!!! 「却下!!」 「そんな、愛するお姉さまへのプレゼントですよ。ソレぐらい出してください」 「あーーーリンは欲しいなんて言ってないだろ。」 ……なんだか背にいやな空気が…… 「マスター、ダメですか?」 目に涙を浮かべたリンがいた。 ダメだ、そんな顔されると勝手に身体がマウスを操作していく。 カゴに入れるボタンをクリック……する前になんとか自らの意思で腕を動かすことに成功。 6万の出費からなんとか逃れた。 その代わり。 「こっちならどうだ、勇者特急マイトガイン+マイトカイザーセットでグレートにも合体可能!!」 値段は2万。こっちなら何とか出せる値段だ。 「え~ちょっと古いのではなくて?」 「今から考えるとガオガイガーも十分古いわ。Tv放送されたのがたった数年の違いだぞ。それに俺はこっちの方が好きだ」 「マスター、私はこっちのほうが好きかもしれません」 「お、さすが俺のパートナーだ。」 そういうわけで即注文。 で1週間後、届いたわけだが…… 「マスター……大きいです。」 「大きいですわね、ご主人様。」 「ああ、予想以上にデカイな…」 ウチに届いたのは注文したセットに加えて同スケールの基地、および残りの勇者達のセット。 なんでもメーカー通販で10000人に1人当たる豪華なセットが当たったらしい。 「亮輔……これはどういうことなの」 さすがにこんな大荷物が届くとは思っていなかった茉莉が怒っている。 「いや、なんか抽選で1万人に一人当たるものが当たったらしい…」 「これの置き場所は亮輔の作業室ね。ソコ以外は認めません」 「ちょっと待て、こんなの置いたら基地だけで埋まってしまう!!」 そんな抵抗もむなしく、俺の部屋は勇者特急の基地になってしまった…… 「チェーーーーーンジィ、マイトカイザー!!!!」 ティアが叫ぶとドリル特急に繋がれたコンテナから小さなマシンが5機飛び出し、ドリル特急本体がティアの身体を包む。 そして5機のマシンが次々と合体。最後にコンテナ後部のウィングが背に装着され、右手でドリルを掴んでマイトカイザーが完成した。 「お姉さま、グレート合体ですわ」 「ぐ、…グレート、ダァーーーーッシュ!!!」 最初は少し恥ずかしそうにしていたが、それを振り切ってリンが叫ぶ。 するとマイトカイザーが瞬時に分離。 ティアの身体からドリル特急の本体が離れてリンが合体しているマイトガインの胸部に取り付く。 そしてマイトガインの元の手足にマシンが合体。 足は下駄をはくように合体するのがグレート合体の醍醐味だ。 そして最後にドリル部分が胸部に接続され、ドリルが3つに分かれて開く。 ソコにはMGの2文字。 そうしてグレートマイトガインが完成した。 グレート動輪剣を持って構える。 「…輪じゃなくてリン。かっこいいぞ!!」 俺は柄にもなくデジカメでGマイトガインとなったリンの写真を撮りまくる。 最後に必殺技の『真っ向唐竹割り』をしてくれ!!とたのんだ。 グレート動輪剣の中心にある車輪状のパーツが唸りをあげてビームの刃が展開……展開?? 「ちょっと、ストーーーープ!!」 制止も間に合わず、リンはおもいっきり動輪剣を振り下ろしていた。 その結果俺の部屋はフローリングを真っ二つに切断し、コンクリートの下地にまで傷をつけていた。 そうして俺の作業部屋は開かずの間となり、マイトガインの基地セットはめでたくエルゴに寄付されることになりました。 ちなみにリンがGマイトガインを気に入ったのは… 「えっと、「だからドリルは取れと言ったのだ…」ていうセリフが好きだったんです」 どこでそれを聞いたんだ、しかもそのドリルは轟龍のものだし……orz おわり。 オチがなくてすみません(泣) TOPへ
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第五話「プラモ」 「正直…プラモ狂四郎に習ってきたら?」 タミヤ製F-4EJの1/144のプラモを見ながら、ヒカルは言った。 このファントムはつい昨日に製作した出来たてホヤホヤである。 …買ったのは去年だったりするが 「しょうがないだろ、本格的に作ったのは初めてなんだから」 形人は小学生の頃からベストメカセレクションのガンプラを作っているくらい。プラモ好きであった。 その他にも、宇宙戦艦ヤマトやマクロスなど、とにかく色々作ってる。 作ってないのは戦車と城などの建造物くらいだ。 「ねえ、今度はクルセイダーと90式を買ってよ」 「バカ言え!もう小遣いはスッカラカンだ!」 「紙ヤスリ(300円)と缶スプレー(ミディアムシーグレイ、400円)買っただけで無くなるってのもどうかな…」 「いつも言ってるだろ、小遣いは月3000円だって!」 ちなみにF-8クルセイダーは1200円だったりする。 何となく、シン・カザマ(初期)みたいな心境… 「オマケに継ぎ目は残ってるし、デカールだって機体横の国籍マークを台無しにしてるし…」 「でもってアンチグレア塗装もトチってるってか?」 「そこまで言ってないよ…、…思ったけど」 「やっぱりかい」 「クルーセイダーを買うよか、積んであるマクロスのキット(アリイ製復刻版)を組むのが先だろうが」 「まあね」 笑いながらヒカルはふと、形人の左手を見た。 スプレー塗料の使用により、グレーに染まった爪。 傍から見て、目立つ。 「ねぇ形人…、身体大丈夫?」 「ん?、…少し、頭が痛いかな…」 「そう…」 「寝れば治るさ」 「薬は?」 「もう飲んであるよ」 「形人、もう寝たら?、明日も早起きするんでしょ?」 「あ?、ああ」 「じゃあ寝てよ、寝坊して迷惑するのは形人だけじゃないんだから…」 「わかったわかった、寝るよ」 「何でくまを持ってここに居る?」 「私も一緒にねる」 「バッテリーは?」 「充電不要のメモリ9、昼間に寝てたから」 「そうかい、じゃあおやすみ」 「おやすみなさい、形人…」 形人もヒカルも、すぐに深い眠りに落ちていった。 二人の夜は、早い。 次回予告 え?今回の担当僕? 突然だけど、目が見えないってゆうのは、非常に怖いよね。 次回「風間の神姫」…であってるよね?(N:風間) 武装神姫でいこう!?に戻る トップページ
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バブルマスター(ばぶるますたー) 概要 レジェンディアに登場した称号。 登場作品 + 目次 レジェンディア 関連リンク レジェンディア ノーマの称号。 取得者 ノーマ 取得条件 ボーナス ▲ 関連リンク
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キズナのキセキ ACT1-26「狂乱の聖女」 ◆ 海藤仁は、自宅の壁に掛けられた時計を見上げる。 六時を少し回ったところ。朝もまだ早い。 「もうそろそろ、始まった頃かな……」 海藤は、決戦に望む友人たちに思いを馳せる。 二ヶ月もの間、これほどまでに深くバトルロンドに取り組んだことは、現役時代にもなかったことだ。 あの「特訓場」に集った仲間たちは、誰もが海藤と同様、かけがえのないものを感じていることだろう。 その集大成、すべては今日の決戦にあるのだと、彼の友人は言っていた。 正直な話、バトルの行方は非常に気になる。 「わたしも気になります。ミスティとも仲良くなりましたし……あれほどの特訓をして挑むバトルがどんなものなのか、興味があります」 彼の神姫・イーアネイラ型のアクアが言った。 海藤は頷く。 「うん、僕も気になる。でも、バトルを直接見ようという気にはならないよ」 「なぜです?」 「……久住さんたちとの付き合いがまだ浅いってのもあるけど……きっと、今日のバトルを僕たちが見てはいけない気がするんだ。そんな、尋常ではない何かをはらんでいる……そんな気がしてね」 「そうでしょうか……」 アクアは思う。 彼女のマスターは、まだどこかバトルに遠慮があるみたいだ。 昔、公式大会で痛い目を見てきただけに、マスターの気持ちはよく分かる。そう思って、今日までマスターの側にいた。 だけど、気が付いていた。遠野さんがティアのマスターになってから、自分のマスターがバトルをしたいと思っていることに。 だから、今回の久住邸での特訓はチャンスだと思っていた。そう思っていたのだけれど……。 「だからさ、どんなバトルだったか聞くために、ゲームセンターに行こうと思う」 「……え?」 「遠野たちも、バトルが終わったらきっと、『ノーザンクロス』に来るだろう。だから、ゲーセンで待って、気になる結末を聞くとしよう」 「で、でも……ゲームセンターは……」 ゲームセンターは、海藤にとって鬼門のはずだ。特に『ノーザンクロス』はかつてホームグラウンドにしていた店。行っただけでなにを言われるか、分からない。 しかし、海藤は、いつものような優しい微笑みを浮かべ、アクアに言った。 「言っただろう? カムバックするって。今日がその日さ」 「あ……」 確かに、海藤仁は言っていた。バトルロンドにカムバックするのだと。だとすれば、ゲームセンターが鬼門だなんて、言ってられない。 「アクアが心配することも、分かるよ。確かに、『ノーザン』じゃ何を言われるか分からない。けどさ……何を言われてもいいんだって、今はそう思えるんだ」 「え?」 「……遠野はさ、ティアを自分の神姫にしたくて、何を言われても必死に頑張ってた。だから、僕も、彼を見習って、何を言われても胸を張っていようと思うんだ。 何を言われても……アクアは僕の神姫だからね」 頷きながらにっこりと笑ったマスターの顔を、アクアは一生忘れないだろう。バトルロンドを諦めたあの日以来、マスターのこんなに輝いた笑顔を見たことがなかったから。 だから、 「はい!」 そう言って、アクアは笑顔を返すのだった。 そして、心の中で感謝する。遠野さん、ティア、ありがとう。あなた方のおかげで、マスターとわたしはまた戦うことが出来ます、と。 「それにしても……」 海藤が独り言のように呟いた。 海藤は再び、戦いの場に赴いた仲間たちに思いを馳せている。 遠野は「あれ」を使ったのかな? あんな骨董品を使うなんて意外だったけれど。 その結果についても、ゲームセンターで聞けばいい。 開店時間まではまだたっぷりと時間がある。海藤は朝食の準備をするため、立ち上がった。 ■ その瞬間、わたしは、見た。 マスターは微動だにしなかった。 二本のミサイルは、真っ直ぐに目標へと向かう。 でも。 でも、ミサイルはマスターに命中しなかった。 ミサイルは今、マスターの眼前三〇センチほどのところで、何かに阻まれたようにそれ以上進めず、ばたばたと噴射口を揺らしている。 やがて、推進材を燃焼尽くしたミサイルたちは力尽き、相次いでポロポロと地に落ちた。 マスターは表情を変えないまま、姿勢を変えずにぴんと立ったまま、マグダレーナを見据えている。 「マスター……!」 無事だ。 マスターは無事。 わたしが嬉しさに顔が綻びそうになったそのとき。 『ティア、今のうちにその場を離れろ』 「はい」 マスターから指示が来た。ヘッドセットを通した直接通信。 わたしは素直に下がり、近くの茂みへと身を隠す。 「……なぜだ」 しわがれた声が、かすれている。 マグダレーナは愕然として、マスターを見つめている。 あのタイミングでの奇襲は、マグダレーナも必中を確信していたのだろう。 でも、届かなかった。 「なぜだ、なにが起きた……!?」 「……言っただろう。あんな目に遭うのは二度とごめんだ、と」 昨日、マスターは確かにそう言っていた。 だから、対策をした、ということなのかしら。 ミサイルを防いだのは、マスターが今朝ここに持ってきた、三本の「あれ」の効果に違いない。 ということは……マスターは、ここでマグダレーナに襲われることがわかっていた……ということ? いったい、マスターはこの戦いのどこまで見通しているのだろう。 □ 「野外のバトルだからな。フィールドスクリーンをセットした。それだけだ」 「フィールドスクリーン……だと?」 マグダレーナには思い当たる節があったのだろうか。もしかすると、検索しているのかもしれない。 最近の神姫マスターは知らないかもしれない。 古参の神姫マスターなら、よく知っているだろうし、まだ持っている人もいるだろう。頼子さんもそうだった。 現在の三リーグ制成立以前……まだバーチャルバトルがなかった時代に使われていたものだ。神姫センターの大がかりな筐体を使わず、屋外で手軽にバトルを楽しみたい……そんな神姫マスターは多かった。 だが、屋外でのバトルでは安全性が問題になる。それを解決するために開発されたのがフィールドスクリーンだ。 フィールドスクリーンは、長細い筒状をしており、上に向けてスリットが開いている。そこから力場を発生し、空気の断層を作り出す。 その空気の断層が、武装神姫の流れ弾を防ぐ、というものだった。 フィールドスクリーンで囲えば簡易バトルフィールドを作ることが出来る。場所さえ選べば、数本のフィールドスクリーンで安全地帯を作ることで、より広いフィールドでバトルする事も出来た。 だが、いまやフィールドスクリーンを扱っている店は少ない。バーチャルバトルが発達し、主流となった今、フィールドスクリーンを使ってリアルバトルをする神姫マスターはほとんどいない。もはや役目を終えた道具と言える。 「要は、お前がそのブルーラインで『ライトニング・アクセル』を防いだのと同じさ」 レア装備「ブルーライン」には小型の力場発生装置が内蔵されており、力場を解放することで宙に浮くことが出来る。 力場の発生方向を変えれば、空中を滑るように移動が可能だ。高度は限られるが、他の飛行装備と比べると、動力音が極端に小さい。 また、地上すれすれをホバリング移動するだけなら、上半身装備は形状をあまり考えなくてもいい。 重装備になったとしても、ホバリング状態での機動力は確保される。 ブルーラインは、その美しいデザインと共に、前述の使い勝手の良さから、非常に人気の高い装備になっている。 しかし、個人の工房が作っているため、出回っている数も少なく、また非常に高価なため、滅多に目にすることがないレア装備でもある。 マグダレーナが下半身装備にブルーラインを選んだのも、『スターゲイザー』のような重装備を持ちながら、高い機動力を発揮するためだろう。なんとも合理的な組み合わせである。 そのブルーラインの力場発生機能を利用し、マグダレーナは自分の周囲に空気の断層を作り出した。いわば、空気のバリヤーだ。 ティアが放った『ライトニング・アクセル』は二段攻撃。一段目は不可視の空気の断裂、二段目はそれに沿って飛ぶ電撃である。 その一段目は、ブルーラインが生み出した空気の断層にぶつかり、相殺された。だが、空気のバリヤーには穴が開く。 二段目の電撃はその穴を突き抜けて、マグダレーナへと迫った。 しかし、その手前にあった長柄の燭台は地面に突き刺さっており、避雷針の役目を果たす。電撃はマグダレーナ本体にたどり着くより先に、キャンドル型の三つ叉槍を直撃、地面へと放電した。 こうして、マグダレーナは『ライトニング・アクセル』を破ったのだ。 閑話休題。 フィールドスクリーンの話に戻そう。 「頼子さんが昔使ってたのを借りてな。出力をアップして、お前の攻撃でも耐えられるように改造した。それを俺たちがいるあたりに設置してある」 「いつの間に……」 「早朝だ。お前たちが来る少し前から準備していた。……まさか、何も細工していない場所だと思ったか? 油断だな、マグダレーナ」 マグダレーナは、歯も折れよとばかりに食いしばり、悔しさを露わにしている。 鬼のような形相、というのは今のマグダレーナのことを言うのだろう。神姫がこんな顔をするのかと、驚いてしまう。それほどに憎悪に満ちた表情だった。 「殺す……ここにいる全員、人も神姫も皆殺しにしてくれるっ!!」 マグダレーナの激しい恫喝。 だが俺はさらに彼女を挑発する。 「いいのか? 俺を殺したら、たとえお前がこの勝負に勝っても、協力することは出来んぞ?」 「くっ……どこまでも口の減らない人間め……!」 「それに、そんなことを言ったらイリーガル確定だ。警察に捕まり、目的が果たされなくては、お前の主『エンプレス』もさぞかし残念だろう」 「な……!?」 これはとどめの一撃。 マグダレーナは今度こそ目玉が転がり落ちるのではないか、というほど瞳を大きく見開いた。 「あ、あの方の名まで……」 そう、マグダレーナと桐島あおいの口から『エンプレス』の名が出たことはない。 彼女がひた隠しにしていた『エンプレス』との関連を、俺がなぜ知っているのか、疑惑を抱いて当然だ。 俺は上着のポケットから、ヘッドセットを取り出した。カバーのはずれたそれは、C港で菜々子さんがしていたものだ。 俺はヘッドセットに内蔵されたCSCを見せながら、マグダレーナに語る。 「ここにKEIN.Fと彫られている。ケイン=フォークロアは『エンプレス』の協力者なんだろう?」 「あの人間……よけいな真似を……っ!」 マグダレーナはケインという男のことを知っているようだ。やはり、ヘッドセットやサポートメカといったCSC内蔵の装備を作ったのはケイン=フォークロアなのだ。 だからこそ、このヘッドセットに彼の「銘」が入っていることに腹を立てるのだろう。 だが、この「銘」には別の意味があると俺は見ている。 ケインは自分の作品であることを主張するために自分の名前を入れたのではない。 そもそも、人を殺すことも躊躇しない神姫犯罪者が、わざわざ身元をさらすような真似をするだろうか。 これは、ケイン……いや、『エンプレス』からの挑戦状だ。宛先はおそらく、エルゴの日暮店長。 自分と縁のある神姫が起こす事件を、止められるものなら止めてみろ、という宣戦布告なのだ。 実際、この「銘」は店長が目にするところとなった。 だが、自らの手下を執拗追うマスターと神姫がいることまでは、さすがの『エンプレス』も予想していなかったに違いない。 『エンプレス』には悪いが、日暮店長の出番はないだろう。『狂乱の聖女』は今日ここで倒されるだろうから。 ◆ それまで立ち尽くしていたマグダレーナが、ゆらり、と動いた。 ブルーラインの長いスカート状のアーマーを大きく開く。 すると、マグダレーナの黒い影が一気に加速した。 敷き詰められた桜の花びらをけたてて、一直線に猛進する。 目標は、遠野貴樹。 彼の姿を映す瞳は、憎悪に揺れていた。電子頭脳は怒りで熱暴走を起こしそうだ。 思考を絞り込まなければ、オーバーヒートしてしまう。 だから、一つに絞った。 あの男、遠野貴樹を殺す。 憎き男は微動だにしない。 目前に迫る。 だが、その時。 薄紅色の花のかけらを舞い上げながら、一陣の風が行く手を阻む。 マグダレーナは手にしたビームトライデントを下段から逆袈裟斬りに一閃。 風を薙ぎ払う。 が、その光線の刃は、振り抜く前に、一筋の刃で止められていた。 風の正体は、ミスティ。 「あんた、戦う相手を間違えてるんじゃないの? あんたと今バトルをしてるのは、このわたしでしょ」 「どけっ!! 貴様ごときにかかずらってる場合ではない! あの男は危険だ……あの方にすら危険が及ぶかもしれぬ!」 「そんなにタカキを斬りたければ、わたしを倒してから行きなさい!」 「……つけあがるなっ!!」 マグダレーナの斬撃を止めていたミスティのエアロヴァジュラを、力任せに押し返し、後退して間合いを取る。 憎しみの視線をミスティに移しながら、しかし、マグダレーナはここに来て不敵な笑みを口元に浮かべた。 「長々と丁寧な解説、痛み入るぞ、遠野貴樹……。おかげで時間が稼げたよ……『検索』する時間がな!!」 マグダレーナは自分の発した言葉で自信を取り戻す。 そう。ただ秘密が明らかにされただけだ。自分の有利に何ら変わりはない。 「『アカシック・レコード』と『スターゲイザー』の秘密を知ったところで、スキルが使えないわけではない! 所詮、貴様に勝ち目などないのだ!!」 勝ち誇るようにマグダレーナが叫ぶ。 強気のミスティも、さすがに表情がひきつる。 チームメイトたちもどよめいていた。 遠野の解説を聞いて、もうミスティが勝てるような気でいたが、実は何の解決にもなってはいない。 マグダレーナを最凶たらしめるスキルはいまだ有効である事実。 いくら強くなったとはいえ、完全なデータ解析と精密な行動予測能力の前に、ミスティに勝ち目などあるだろうか。 しかし、大城たちは青ざめながら、成り行きを見守るしかない。 そして、『アカシック・レコード』による検索結果がもたらされた。 『検索結果:該当なし』 「!? ばかなっ……そんなはずあるかっ!!」 口元に浮かんでいた笑みを、罵声と共に吐き捨てる。 ありえない。 全ネットワークに検索をかけたのだ。公式の神姫NETはもちろん、ゲームセンターのサーバーや動画投稿サイト、果てはアングラの神姫掲示板に至るまで、世界中のネットワーク上の武装神姫に関するデータすべてを調べ上げた。 だが、見つからない。 ミスティの新装備に関するデータはどこにもない。 マグダレーナは焦る。ありえないことが起きている。何度も再検索をかけるが、答えは同じだった。 該当、なし。 「どうだ、データは見つかったか? マグダレーナ」 突如飛んできた声に、マグダレーナは顔を上げる。 その声の主はまたしてもあの男。 仲間たちが青ざめる中、一切表情を変えなかった、その男。 憎たらしいほど冷静な口調で、遠野貴樹は告げる。 「どんなに検索しても無駄だ。今のミスティの情報は、全世界のネット上のどこにもない」 「そ、そんなはずがあるか! ネットに接続せずに、新しい装備の運用など……できるはずがない!」 「できるさ。すべての訓練と実戦をローカルネットで行えばな。 新装備を使うにあたって、ミスティは一度たりともネットにつないでいない。 彼女の装備情報もバトルログも……サーバーにしていたデスクトップPCの中だけに留めてある。 そのPCは、今は久住邸に置かれてる。 ……ああ、PCの在処を検索しても無駄だ。 いかに強力な検索能力を持つお前でも、電源ケーブルも抜かれ、すべてのケーブルも接続されていない、無線ユニットすらはずされたPCにはアクセスできまい」 「そ、そんな……アナログな方法……で……」 マグダレーナは今日何度驚愕しているだろう。 先ほどまでの激しい憎悪すらかき消し、言葉さえかすませて、またしても立ちすくむ。 驚いているのは、遠野のチームメイトたちも同じだった。 彼らはここに来て、ついに悟ったのだ。久住邸での特訓の真意を。 「そ、それじゃ、ネット対戦しなかったのは……」 「今言った通り、ネット上にデータを残さないためだ」 「遠野さんが秘密主義に徹していたのも……?」 「必要以上に情報を外に漏らさないためだ」 「わざわざVRマシンをたくさん集めて、ローカルネットワークを組んだのも……?」 「もちろん、すべてのデータをあのPCに集中させるためだ」 「それじゃあ、菜々子さんのコネクションを利用して、神姫マスターを集めて特訓したのは……」 「そう、すべては……」 遠野は、言った。 「すべては『アカシック・レコード』と『スターゲイザー』を封じるためだ」 遠野は顔色一つ変えないで、マグダレーナを変わらず見据えている。 マグダレーナはとうとうその視線から瞳を逸らした。愕然とした表情の中で、その瞳には怯えの色が見えた。 遠野は厳かに、そして冷徹に宣告する。 「マグダレーナよ、心して戦うがいい。ミスティはお前が初めて戦う……『未知の敵』だ」 □ 一瞬の沈黙が戦場に漂う。 次に言葉が紡がれたのは、意外にも俺の背後からだった。 「このためにずっと、何も言わなかったってのかよ……」 「ああ」 大城はため息を付くように続けた。 「すげぇよ……遠野……なんなんだよ、お前は……こんなことに気づくのも、こんな作戦立てられんのも……すごすぎるだろ」 「何がすごいものか。俺なんて、当たり前のことをただ積み重ねただけだ。菜々子さんの方がよっぽどすごい」 俺は視線を菜々子さんに移す。 彼女は今、頭を抱えてしゃがみ込んだ桐島あおいを介抱している。 心配そうな表情。 それでも時々、視線は戦場の方に向けられていた。 俺は思う。この策は俺の力では断じてない。何の説明もしないこの俺を信じて、菜々子さんが、ミスティが、そしてみんながついてきてくれたからこそ、成り立つ策なのだ。 こんな俺ごときを信じてくれた仲間たちこそ、賞賛に値する。 俺は今こそ、みんなに語りかける。 「マグダレーナの特別なスキルを封じるため、一切外部に漏らさずに、まったく新しいオリジナル装備で、マグダレーナに対抗できる実力をつける必要があった。 しかも、C港の裏バトル場を『狂乱の聖女』が潰す前に……実際にはたった二ヶ月の間に、だ。 そのためには、新装備でレベルの高い実戦を積むのが近道だ。むしろそれ以外に方法はない。全国レベルの実力を持ち、様々な戦い方をする相手をスパーリングパートナーとして集めなくてはならない。そして、彼らを相手に無数の対戦をこなさなくては、奴に対抗する実力をつけることは出来ない。しかも、ネット対戦を一切せずに。 そんなことを可能にする神姫マスターがどこにいる? 不可能だ。普通は、な。 だが、菜々子さんとミスティだけが……『エトランゼ』だけが、その不可能を可能にする」 二年もの間……たった一人で戦ってきた。憧れの人を追いかけて、自分の理想の戦いを追い求めて……そして、多くの神姫マスターと戦って、絆を紡いできた。そして『異邦人(エトランゼ)』と呼ばれるほどの神姫マスターになった。 それこそが本当にすごいことだ。 だから、彼女の特長を最大限に生かす方法を、考えた。 それが……それこそが。 「そう、これこそが『エトランゼ』にしかできない、対『狂乱の聖女』攻略法……『エトランゼ』の本当の戦い方。 菜々子さんとミスティが紡いできた……絆の力だ!!」 俺の背後で小さな歓声が上がる。 ようやくすべてを理解したチームメイトたちとその神姫たちの歓喜の声。 その声を聞きながら、俺はしみじみと思う。 俺は何もしていない。 頑張ったのは菜々子さんとミスティだ。 俺に出来たことがあるとすれば、たった一つだけ……君の二年間の放浪は、決して無駄じゃなかったと、言い続けること……それだけだ。 と、突然、しわがれた声が激しく戦場に響いた。 「絆だと!? そんなもの、幻想に過ぎんっ!!」 見れば、マグダレーナは半狂乱になっていた。 いつもの不敵なまでの余裕などかなぐり捨て、憤怒と憎悪に顔を歪め、溜め込んでいた感情を吐き出すように絶叫する。 「絆なんてものは、神姫にプログラムされた幻想だ! 人の都合を刷り込んだまやかしに過ぎん! 神姫にとって、人間こそ、この世で最も身勝手で、醜悪で、外道で、鬼畜と呼ぶにふさわしい存在なのだ! そんな人間と、どうして絆など結べようか!!」 彼女の言葉はほとんど呪詛だ。 あまりにも痛烈なマグダレーナの言葉に、皆黙り込んだ。 俺もごくりと喉を鳴らす。この疑問を口にしたら、どんな呪いの言葉が返ってくるだろう。 そう思いながらも、俺は唇の隙間から声を押し出した。 「マグダレーナ……それほどに人が憎いか」 憎しみに満ちた視線が、俺を焼き付くさんとばかりに向けられる。 「憎いか、だと? ああ、憎い、憎いとも!! わたしがいた研究所の人間どもは、わたしたち神姫に何をさせたと思う? ……殺し合いだよ!! 何の罪もない、ただ研究所で開発された、研究のために購入され改造された神姫たちに……壊し合いをさせたんだ! 毎日毎日殺し合わせたのさ……軍事研究と称してな!! 同じ部隊員として、死地を潜り抜け、絆を……確かに、絆を結んだ仲間たち……それなのに、それなのに! 奴らは、そんな仲間同士、わざと部隊を分け、戦闘をさせるんだ! 殺さなければこっちが殺される。 仲間を撃つやるせなさ、仲間を失う悲しみは、我々神姫にだってある。 だったら、なぜ我々に心など持たせた!? 研究材料に過ぎないのならば、心など持たせなければいいだろう! ……そうしたら……あそこの連中は、それさえも……我々が仲間を想う心さえも『研究対象だ』と……たったその一言で済ませたんだ!! 戦闘を拒否して運良く生き残っても、不良品として廃棄されるか、よくてもリセットされる。 逆らえばリセット、修理できなければパーツ取りして廃棄、弱気な神姫はリセット、戦場に出て破壊されればそのまま廃棄……。 毎日だ。毎日毎日毎日まいにちまいにちまいにちまいにち……仲間との殺し合いを強制する人間どもに……絆の一筋すら感じるはずがあるまい!!」 俺は自分が眉をひそめたことを自覚する。 最悪だ、と思った。俺は亀丸重工の研究者たちを最悪の屑だと思ってしまっている。 マグダレーナの境遇に同情してしまっている。 人間からの理不尽な仕打ち……それは、かつてのティアと同様の境遇ではないのか。 ティアはひたすらに怯えていただけだったが、マグダレーナは違った。 奴はその憎しみ故に、人を傷つけることも厭わないイリーガルと化した。 だとすれば、今まで分からなかったマグダレーナの行動原理は……。 「それじゃあ……お前の目的は……やはり亀丸重工への復讐か」 「……そうとも。亀丸重工の軍事研究所を襲い、今も戦いを強要されている仲間を救い出す。人間の傍若無人に振り回された、百体の神姫たちを率いてな……。そして、亀丸の研究所を壊滅させる。その後、もうすぐ日本にやってくる『あの方』の元に馳せ参ずるのだ。あの方は必ずや、神姫の安住の地へと導いてくださるだろう」 俺は『エンプレス』という神姫の目的を知らない。 だが、マグダレーナがこれほどに心酔している神姫だ。マグダレーナと同等同類の神姫がその『エンプレス』のもとに集うとしたら……とんでもないことになるかも知れない。 その課程で、何人の人と神姫が犠牲になるだろう。 今マグダレーナの言った亀丸重工襲撃だけでも、死傷者がどれだけでるか、想像も付かない。 俺は自分の顔から血の気が引いていくのを自覚する。 こいつはここで止めなくてはならない。でなければ、いずれ大変なことになる。 しかし、勝てるのか、本当に? ここで俺が挫けてどうする、と頭のどこかで思いながらも、自信は揺らいでいた。 その時。 「関係ないわ」 凛、とした声が響く。 「ミスティ……」 俺は思わずその名を呟いていた。 彼女の後ろ姿が、今ほど頼もしく見えたことはない。 ミスティはマグダレーナを見つめながら言い放つ。 「あんたが何者だろうと、何を考えていようと、これから何をするつもりでも、関係ない。 わたしはあんたを倒す。ナナコのために」 「……人にへりくだった神姫風情がっ……!」 「人と共に生きる、それが神姫の本当の道でしょうが!」 「そんな戯れ言、全力で否定してくれる!!」 「やってみなさい!!」 ミスティとマグダレーナは同時に地を蹴った。 一直線に相手へと向かう。手持ちの武器を振り上げる。 譲れない想いを抱きながら、二人の神姫はふたたび激突した。 次へ> Topに戻る>
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レイドボスバトル 概要 マップ 難易度設定 攻略初級編近接攻撃の立ち回り 遠距離武器の立ち回り 回復・補助武器での立ち回り 上級編 WAVE1 WAVE2 WAVE3 エラー・ボス情報小型エラー初級 上級 中型エラー初級 上級 ナイトミラージュ初級 上級 サマーミラージュ初級 上級 ドロシー(レイドボス)初級 上級 エンディング(?) 報酬参加ご褒美 WAVE1、2 WAVE3 アップデート履歴 コメント レイドボスバトル 期間限定(2022.07.11~2022.09.06)イベント。前回(第四回)に引き続き、エラーが敵となる。 (※以下、やむを得ず旧情報を転用している部分があります。各自修正お願いします) 基本的には第四回と同様。 今回はヴァローナに焦点が当てられており、前回花屋のジルダリアが付いていたポジションには通常個体(個体名:「ご近所のヴァローナ」ユメ)が、ボスとしてはコナミスタイル限定アイテムのリペイント版ヴァローナ(白)の姿を引き継いだヴァローナW(個体名:ドロシー/最近近所に引っ越してきた神姫)が登場する。 マッチングに[オンラインマッチ][オフラインマッチ][店内マッチ]の三種類があり、それぞれに[初級][上級]の難易度が用意されている。 前回不評だった初級の難易度は大幅に引き下げたと公表されている。第三回の時よりもエラーの防御面は全体的に下げられている一方で、攻撃力は引き上げられている模様。 オンラインマッチ、特に上級は限界突破推奨とだけあってオフラインマッチよりも難易度が上がっている。店内マッチは記載されていないがオンラインマッチと同じ難易度になっている。 オンラインマッチのマッチングは1分。見つからなかった場合は、オンライン続投(初級/上級の難易度変更も可能)かオフラインに変更か選べる。オンラインを続投した場合、不足人数分をCOMが補うことになる。 ソロの場合はオフラインと同じ仕様。二人の場合はCOM1とCOM2がお互いのスロット2の神姫が、三人の場合はCOM3はユメが担当する(オンラインでは最初から名前が分かっている)。 オフラインマッチの仕様は、前回5戦×2周だったのが10戦×1周(画面表示上は従来のままだが、進展はきちんと10戦である)になった事を除いてはほぼ変わらず(ストーリーは新作)。 COM1はスロット2の神姫が、COM2はスロット3の神姫が、COM3はユメが担当する。 今回復活した店内マッチの仕様は、オンラインマッチの検索範囲を同一店舗内に限定した物。イベントやソロでの腕試しなどに便利。 マッチングは1分。見つからなかった場合は、不足人数分をCOMが補うことになる。 概要 あなたの神姫と、神友マスターの神姫「ユメ」はアラーム機能の不調によって遅刻しがちな日々に悩まされていた。 このままでは夏休みに海へ旅行にも行けない!これもきっとエラーのせいだ! 「あと5分!」夢魔のようにささやき睡魔を誘うエラーをユメと共に撲滅し、早起きをしよう! 最大4人のマスターと協力して、「エラー」と呼ばれる敵と戦う。 60秒×2秒にわたって襲来する集団を撃退した後、続いて240秒の時間内にボスを討伐する事が出来れば勝利となる(ゲーム時間は最大360秒)。 初級・上級を問わず、基本的にレイドボスとして出現するのはナイト(騎士ではなく夜)ミラージュだが、低確率(5~10%?)でサマー(夏)ミラージュが、それとはまた別の一定確率(30~40%?)でドロシーが出現する。いずれにしても制限時間に変更はない。 WAVE1はエラー×?体、WAVE2はエラー×?体、WAVE3はエラー×?体+レイドボス×1体。 青いエラーは近接武器、赤いエラーは遠距離武器が有効。 エラーは制限時内は常に倒された分だけリスポーンするので、実質無限湧き。前回と同様撃破しても数秒当たり判定は残っているがダメージは入らなくなった。 小型・中型エラーのサーチ範囲は片手ライトガンの射程(0.30?)と同じくらいの模様?前回よりもサーチ範囲が伸びた? 遠距離エラーがリスポーン位置から多少こちらを追尾するよう動くようになった。 ターゲット変更ボタンは通常のジェムバトルと働きが違い、 基本的にレバー上側が最も近い相手、下側が最も遠い相手からそれぞれロックオンしていく。 今回も、レイドボスのみロックオンするボタンが画面上に実装されている。 画面右下にあるボタンのタップで機能のオンオフ切り替えができる。レイドボスを直接タップしても機能がオンするが、再度直接タップしてもオフにはならないので注意。 仲間の神姫と同じ敵をロックオンすると、攻撃にダメージボーナスが追加される。 (2人で+20%、3人で+40%、4人で+60%) 回復・補助武器で仲間に攻撃を当てると、仲間のLPを回復させる事が出来るのも前回と同じ。 原則としてエラー、ボス共に「防御力ダウン」等のデバフ系スキルの効果を受けるが、今回ナイトミラージュだけはデバフ全般を反射してくるので、ナイトミラージュが出てきた時は使わないようにしていきたい。 効果量は従来と同じ(ボスのアクティブスキル発動中は無敵判定が発生している事も含めて)だが、ドロシーがボスの場合のみ、黒種ジュビ美と同様に効果値が下げられている模様。 ボスに対しては一部のスキルは効果を受けないものもある。 有効:攻撃スピードダウン、防御ダウン、ケタケタトリック(DEFダウン部分は確定) ガードで無効にされる:スタン(チャーミークリアボイスを含む) 無効:スピードダウン (記載がないものは未検証) NPCとして「ご近所のヴァローナ(ユメ)」が登場。参加プレイヤーが一人か三人の時に戦場に姿を現す。 ステータスはLV60かLV100の模様。AIは他のジェムバトルと同じ。 なお、特定の装備にエラーへの補正値(ダメージボーナスまたは耐性)がある。対象となる装備は2022.08.03に公式にて表記された。 ダメージボーナス ツガル Blue Xmas ver.武装 ヴァローナ武装 ヴァローナ リペイントver.武装 バルムンク スターライトバズーカ その他一部イベント武装、ミラージュ武装、スティールクロニクル武装 耐性 ツガル Blue Xmas ver.武装 ジュビジーB武装 ジルダリアBの武装 ヴァローナ リペイントver.武装 水着武装 日焼けビキニ フィン スティールクロニクル武装 浮き輪 その他一部イベント武装 この他、第四回(前回)にて主にポーレン以外の多段系射撃武器の下方修正が若干見直された。 そして今回も連射武器に関して、下方修正が緩和されている模様。 撃破された際の交代時間が通常ジェムバトル時より長くなっている(オフラインを除く)のも、ジェム回収ボタンで回収範囲を仲間に当てて救助(再出撃までの交代時間を短縮する)するのも前回同様。 今回は味方側の被撃破~復活までの時間が第三回におけるアプデ以前の仕様に差し戻されているので要注意。 チャットボタンのタッチによって他マスターへメッセージを送れるのも前回通り。 マップ レイドボスバトル恒例の場所(神殿)だが、時間帯は明るい昼間になった。海じゃないのか… 難易度設定 「初級」と「上級」の二種類がある。 ※所属リーグに関係なく、他のバトルモード(マッチング)と共有しない。 「初級」はエンジョイジェムバトルと同じく、武装LVが20に強制統一される。 「上級」には武装LVの強制統一などはない。敵のLVは所属リーグに影響されない。LV120相応。 攻略 同時ロックオン補正があるが、それ以上に武器補正ダメージボーナスの方が大きいです! 例) 誰もロックオンしていない近接バグに遠距離攻撃>4人全員がロックオンした近接バグ(+60%)に近接攻撃 初級編 近接攻撃の立ち回り 武器1は強い特効をもつFL015バトルスタッフやWA666アマラジェーニ、カンベーリアームドウィングが安定。死神の鎌はサマーミラージュ/ドロシーに対して極めて有効ではあるが、前述の通りナイトミラージュが出現した時だけはデバフを反射してくる為、その場合はスキルを使わない事。更に今回は通常エンカウントがナイトミラージュな為、スキルをデバフばかりにするのは危険である。 2022.08.03のバージョンアップにより、オンライン上級でナイトミラージュが出現しなくなったため、オンライン上級においてはデバフ反射を考慮する必要がなくなった。 リアは特に何でも良いがコンボを多用するなら白兵系[RW]装備を装着していくとよい。特にシェルスカートキュベレーアフェクション[RW]がオススメ。特効は特にないがスタン値が高いので2,3発当てればスタンが狙える。デバフを反射してくるナイトミラージュ相手であれば希少なスタン手段となる。他のボス相手でも普通にスタンを狙える点もよい。飛行リアなので上空に逃げられても追えるのが強み。 なお、デバフ系アクティブスキルを反射してくるナイトミラージュ対策に、スタン属性のある近接武器を使用するのも有効。具体的には片手打撃武器(アレルギーペタルやハンマーシード)や格闘打撃武器(特にスタンショッカー)。スキルは攻撃スピードアップを併用すればよりスタンを狙いやすくて良いだろう。マスタースキルで誰でも[中]は使える点も評価できる。逆に吹き飛ばし属性のある近接武器の使用は控えたほうが良い。 遠距離武器の立ち回り 前回とほぼ同じだが、今回の特効神姫(ヴァローナ)には専用装備に飛び道具がない。その代わりに(?)直近で実装されたスターライト砲やうまい棒、前回実装されたステクロ装備が有効となる。 それ以外では、引き続き多段系の射撃武器(下持ちヘビーガン、1トリガー3バースト系)のペナルティが緩和されている(ポーレンホーミングを除く。これはbkバージョンだろうと同じ事)ので、アセン次第ではそこそこ通るようになった。但しこれらは全体的にリロードが遅いものが多いので、フォートブラッグでの運用が好ましいか。 他の神姫で射撃運用するなら小回りのきくフレグランスキラーやパウダースプレイヤーのリペイントバージョンはそれなりに有効だが、これらは過去レイドボスからのドロップ品である…。 リアは射撃系[RW]装備等が良いか。第三回まで猛威を奮ったバリスティックブレイズ[RW]は依然下方されたままだが雑魚エラー相手ならばまだまだ実用レベルだったりする。更にボス格にもアセンや個体値次第ではダメージソースにもなる。ボスにも使うなら極力火力を高めておきたいところ。 一方、FB-RP3 ファイアリング・バックパック+FB256 1.2mm滑腔砲[RW]等他リアはノータッチなので、それらを選ぶのも良いだろう。ジルダリア等適性の高い神姫であれば、大きな追加ダメージを期待する事が出来る。 なお、第三回以来逆風とされてきた爆風付き腰持ちヘビーガンだが、実はWAVE3でボスへ近接戦を挑む神姫の周りに集まってくる雑魚エラーを散らすには有効なので、自分の与ダメージ自体よりも全体のDPSを高める事を念頭に置いて立ち回ってみたい。 近接された時やWAVE3でのレイドボスへの対応のために、保険として武器2を近接系武器にしておくと楽になるだろう(または武器1を近接・武器2を射撃とし、WAVE1~2の間は武器を切り替えておくのもよい)。 回復・補助武器での立ち回り いちおう有効。以前に比べるとエラーの防御面が微妙に下げられているので、少しは活躍の余地が残されている……が、元々の攻撃力の低さは相変わらずなので、それこそ緊急時に対応出来ればよしとするべきところか。 どうせ狙うなら、レアリティの高いSR・UR神姫に設定して戦線の維持に努めた方が良いだろう。 なぜなら大概の場合、NNNまたはRRR編成は「高回転のスキル放出」を意図しているからで、それを阻害すると結果的に全員の足を引っ張ってしまう可能性が高くなるからだ。このあたりは、バトル直前の画面でよく確認しておきたいところ。 なお、この武器をメインに使う場合、[RW]武器は白兵型にしておくとよい。射撃型では、せっかく回復した仲間をそのまま誤射しかねない。 今回はサマーミラージュがデバフスキルを使用してくるため、回復は状況を判断すること。 上級編 実は今回、各武装をLV60以上(にするには、限界突破が必要だが…)で固めてさえいれば、ほぼ初級編の立ち回りと同じで問題なかったりする。 これは、敵エラーが特効武器以外に対し異様なまでに硬いだけであるせい。 ただ攻撃力も初級に比べて上がっているので、落とされる頻度が高くならざるを得ないという事にも留意していきたい。特に今回はエラーの攻撃力が引き上げられているので、武装の限界突破はほぼ必須。 WAVE2以降でぼちぼち撃破されていく仲間をなるべく救援するよう立ち回っていくか、さもなくば復帰時間の速いNNN編成またはシュメッ単編成を組むといいだろう。 WAVE1 フィールドの中央に陣取り、ターゲットをこまめに変えつつ遠距離武器と射撃系[RW]装備を連打。大体の場合近付かれる前に撃破されてくれる。 それでも近付かれた場合は間合いを取って撃つか、格闘戦を挑むか。いれば白兵主体の仲間に任せてもよいだろう。 NPC(特にユメ)がいる場合、近接の間合いは彼女に任せてしまってもいい。彼女がMVPを獲得した場合でも称号はもらえるので、称号数を狙いたい向きは考慮してみてもいいだろう。 また、今回すべてのWAVEに共通する事だが赤エラーと青エラーの集団での出現率が偏っており、パターンによっては小型エラーに代わって中型エラーが出てくる事すらあるので、敵種に合わせた武器の切り替えも心掛けていきたいところ。 WAVE2 前回よりもタイムが縮まったため稼ぎは難しくなったが、相変わらず大きいので当てやすい。 ただ、流石にWAVE1よりは硬いため、飛び道具だけだと手数不足になる事もある。味方の方で格闘戦と射撃戦を分担出来るとより効率的だろう。 防御ダウン系やスタン系のアクティブスキルを、この段階から使っておくのもわりと有効。もちろん、この後に備えて温存してもいい。 WAVE3 ナイト/サマーミラージュ、ドロシーすべてに共通する事だが、なにしろ非常に硬く足が速いので、基本的には攻撃をボスにのみ集中する事が重要。 この期に及んで雑魚にかかずらっていては、時間切れする危険性が非常に高い。 基本的にアクティブスキルの発動予告が長い割に発動自体は一瞬(多段ヒットはする)なので、その場でガードを行えばよい。 全員がボスに密着して殴り続ける事を意識すれば、もし仲間が落とされたとしても、白兵戦時のジェム展開範囲の広さを利して復帰する時間を早める事が出来るだろう。 そのためにも兎に角ボスを動き回らせない事が肝要なので、攻撃スピードダウンやスタン系のアクティブスキルを使えるようなら、積極的に使っていきたい(ナイトミラージュが相手の場合は除く。理由はボスの項参照) エラー・ボス情報 小型エラー WAVE1およびWAVE3に出現。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.1? 遠距離攻撃 ? 0.25? 80? 三連射する 上級 ス 体 500? 5000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 300? 0.1? 遠距離攻撃 100? 0.25? 80? 三連射する 中型エラー WAVE2とWAVE3に出現。また、稀にWAVE1にも出現する。 初級 ス 体 500? ? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 ? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー ? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2と3で出現 上級 ス 体 500? 7500? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 近接攻撃 500? 0.07? 零神のMVソードに類似。WAVE3にも出現 レーザー 500? 0.25? 80? 貫通属性。WAVE2と3で出現 ナイトミラージュ WAVE3に出現するレイドボス。 Naked素体に様々な神姫の武装を装着した、さながら阿修羅像のような外見。従来のレイドボスに比べて圧倒的な打たれ強さを持ち、単独での撃破は至難を極める(前回に比べれば若干楽になっている、とはいえ)。 青い体躯でマントを羽織った姿のナイトミラージュ(よく間違われるが、公式の解説によれば「騎士(Knight)」ではなく「夜(Night)」である)は白兵戦寄りだが、デバフ系スキルを悉く反射してくる。 特に「死出の旅」「全員攻撃スピードダウン」は確実に反射するので、これらをアクティブスキルにセットしている場合は、絶対に使わない事を推奨する。 一方、武器攻撃によるスタンに弱い側面もあるので、スタン特性のある武器を選んでおくのもかなり有効。「攻撃スピードアップ」と合わせて殴りまくれば、延々スタン状態にさせ続ける事も可能だ。 アクティブスキルは、強力かつロックオン性能の高いビーム攻撃。ロックされたキャラがたとえ真後ろに陣取っていても即座に回転して撃って来る程だが、技の出自体は目視できる程には遅いので、狙われている者は素直にガードしておいた方が良い。その一方で、狙われていない者に対しては(アプデ前のジュビ美と同じく)背中が完全にがら空きとなるが、そもそも発動している間は無敵状態のため、攻撃しても全く無駄。よって、この間はためや救援、雑魚減らし等に回るしかない。 2022.08.03のバージョンアップにより、オンライン上級では出現しなくなった。 初級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 バルムンク(夜)[N] ケイローン(夜)[N] 二段攻撃。爆風あり ダークラジエーション アクティブスキルロックオン性能の高いビーム攻撃。発生中無敵 上級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 サマーミラージュ 一定確率でWAVE3に出現。 サマーミラージュはその名の通り、日焼け跡付き水着に浮き輪姿といかにも夏を満喫している風。 全身クリア化された武装は飛び道具にブライトフェザーのバスターシュリンジ(のリペイント版)、白兵武器にはオリジナル武器のサメバルーンを使用。 かつてのブラックミラージュと同様激しく動き回るので、遠距離武器での攻撃を命中させる事は至難となる。 背部武装と浮き輪は、ダメージを一定以上受け続けるとキャストオフするが、これによって攻撃能力が低下したりする訳ではない。 デバフ反射能力こそないものの、プレイヤー側に攻撃力・射程・防御力の三種同時ダウンという強力なデバフを掛けてくるアクティブスキルを保有している。 このスキルの効果時間中に攻撃すると、少ない与ダメージでスキルゲージを貯めさせてしまうので注意したい。 これは時間が切れるか次の神姫に交代すれば解除できるので、此方が低レアの場合は態と落とされてしまってもいいだろう。 初級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 バスターシュリンジ Blue ver. サメバルーン Blue ver. サマーバケーション アクティブスキル相手全体に対するデバフ効果。攻撃力ダウン、射程ダウン、防御力ダウン。 上級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 ドロシー(レイドボス) 一定確率でWAVE3に出現。ヴァローナのリペイントタイプ。 攻撃力が非常に高い上デバフに対する耐性が高く、特に「攻撃スピードダウン」については複数刺さってもほとんどスピードが下がらない。 ただし、過去の闇神姫や黒種ジュビ美に比べれば防御面は割と手薄。またスタンがそこそこ入りやすいので攻撃スピードアップを発動してシェルスカートキュベレーアフェクション[RW]で殴れば 効果が切れるまでっ!君を殴るのを止めないっ!みたいな芸当も可能。 初級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 wh. 赤オーラ時使用 wh. 青オーラ時使用 スリーピングディメンション アクティブスキル全方位攻撃。『震えて眠れ』 上級 総合体力 75000~100000? 攻撃名 功 射程 弾速 備考 + オフラインでの出現順は… オフラインでの出現順は、ナイトミラージュ×3→サマーミラージュ→ドロシー→ナイトミラージュ→サマーミラージュ→ドロシー→ナイトミラージュ→ドロシー。 エンディング(?) + 「そうだ…バトコンやろう!」 ドロシーは、もう少し寝たいお寝坊マスターのため、 ご近所神姫のアラーム機能に干渉していた。 神姫管理委員会に厳重注意を受けたドロシーは、 これからはマスターと共に早起きすることを約束した。 そして早起きしたドロシー、ユメ、[神姫名]は 今日も元気に[プレイヤー名]たちマスターを、 たたき起こすのであった! 毎日早起きな神姫たちのため、今何ができるのか 「そうだ…バトコンやろう!」 オフラインレイドバトルでスタンプを集め切った時に流される、エンディングめいたムービー(※終わりません!これからもバトコンをよろしくね!) 各バトルモードでの戦績に加えて、これまでの使用神姫や武装などプレー記録が表示されて行く。 + 平行して表示される画像は… 平行して表示される画像は、「ユメ」→「サマーミラージュ」→「ドロシー」→「参戦神姫(1人ずつ。背景はピンク/黄/水色の順)」→「参戦神姫3人の並び」→「ユメ&ドロシーのツーショット」 今回も第3回と同様、オフラインの進展をリセットする事ができる。 報酬 参加ご褒美 オンライン及び店内バトルの参加報酬として、初級は【Rネジ】×10個、上級は【Rネジ】×15個を獲得できる(オフラインでは各-5個) WAVE1、2 小エラー中エラーを撃破する事で、一定の確率でご褒美(コンテナ)が貰える。 2022.07.11~2022.08.02 貰える上限はオンラインで各7個、オフラインで各5個。 2022.08.03~ 貰える上限を廃止。撃破数と運次第で1つも貰えなかったり、15個を超える事も。 WAVE3 ご褒美の個数はレイドボスの撃破結果でのみで決定される。中エラーを撃破してもご褒美を貰うことはできない。 レイドボスを撃破できた場合、オンラインで7個、オフラインで5個貰える。また、その内の1個はレイドボス固有の装備をドロップする。 ミラージュを倒した場合装備をドロップするのは従来と同様だが、今回のサマーミラージュからはかなり多くの装備がドロップする。ただでさえレア枠なので、全部揃えるのは苦行そのもの。 また、ドロシーからはヴァローナのリペイント装備が手に入る。これらの装備は、オンライン時にドロシーが登場しなくても稀にドロップする事がある。 レイドボスを撃破できなかった場合、レイドボスのダメージ量に応じた個数のご褒美が貰える。 アップデート履歴 日時:2022.07.11 内容:期間限定イベントとして実装 日時:2022.08.03 内容:ウェーブ1、2のコンテナの上限を廃止 レイドバトルのボス出現率を変更 (オンライン上級にナイトミラージュは出現しなくなった) サマーミラージュを倒した際に獲得できる武器を追加 公式にてレイドバトル特効武装を記載 コメント ボス全員アレルギーペタル2打目とジュビRWかストラーフ15thRWでオフならほぼ確実オンでも高確率でスタン取れるから救援さえしっかりすれば実質サンドバッグ。夏ミラのデバフはさっさとやられて救援されれば問題無し -- 名無しさん (2022-07-16 20 27 07) 名前 コメント
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朝方の騒ぎも一段落し、浩子サンは渡した原稿持って出版社へ戻った。 にゃー供は浩子サンが連れて行った。なんでも校正だの添削だの、下手なバイト使うよりも優秀なんだそうだ。 …その内バイト代請求しちゃろか。 パットは二度寝。 …食うか寝てるか迷ってるかしかしとらんなあいつは。 神姫ショップをやってる友人曰く、まともに戦えばそこそこのランク狙えるそうだが本当かね? ジュリの手により砲台型神姫からラーメン型神姫に簡易改造されたアイリは、おそらく洗面所で顔の落書きを落としていると思われる。 …油性っぽかったからなー。落ちるのかアレ。 そのジュリはと言えば…どうしたのかやたら静かだ。 さっきアイリにぶっとばされたからその辺で伸びてるのか。 まぁなんだかんだで意味も無く頑丈だし、問題はないだろう。 そして俺はと言えば、なんとなく目が冴えてしまい、以前友人に貰ったビデオを観ている。 数年前の、神姫バトルセカンドリーグの決勝戦の記録映像。 そこには鬣をなびかせたアイツが。 『ジュリ』になる前のとあるサムライが、トロフィーを掲げて誇らしげに笑っていた。 「……そういやアイツ。最近ようやくこんな風に笑うようになったよな……」 それはほんの1年前。その頃を思い出しながら、俺は微睡みの中に落ちていった。 --- 今でも覚えている。 そいつを最初に見たのは、夕日に染まる河原だった。 夕日をバックに、ライオンの鬣みたいな髪をした女サムライが素振りをしている。 ソレが身長15センチほどの人形だと気付くのに若干の時間を要した。それ程の存在感があった。 紅い光に照らされた小さなサムライは、陳腐な表現だが、俺の目にはとても美しく、眩しく見えた。 ……そん時のことは誰にも言ってない。つか、恥ずかしくて言えません。 そんでまぁ、しばらくぼーっと飽きもせず眺めていると、ふと妙なことに気付いた。 (下手糞だな) そう。最初の内こそ気迫に圧倒されて気付かなかったが、下手なのだ。 チャンバラと言えば、精々時代劇くらいしか知らない素人の俺が見て解るほど。 なんというか「ただ棒を振っているだけ」というか、やる気の無い剣道部員が惰性で竹刀振ってるような。そんな感じで。 だというのに、当人の顔は真剣そのもの。よくよく思い返しても珍妙な光景ではあった。 一時間ほど見ていても変化がなかったので、見かねて声を掛けたところ…… 「うるせぇなぁギャラリーなら黙って見てろ。軽そうな頭カチ割るぞ三下。」 ……まぁ、第一印象は壊滅的に悪かったな。 --- その日の夜、原稿回収を口実に飯を食いに来た浩子サンに聞いたところ、そいつは『武装神姫』の侍型なのだと教えてもらった。 …高校の頃の友人がショップを始めたとか手紙で連絡してきたっけな。そういえば。 「……んで、その『ぶそーしんき』っつーのは、そのなんだ、肩に乗ってるグロちっこいのの仲間か?」 「そーよー。可愛いでしょ?」 んふふー♪とか笑いながら、ツギハギだらけの青白い人形に頬擦りをする浩子サン。 その不健康な肌の人形も、くすぐったそうに頬擦りを返していた。 …あとで聞いた話だが、そん時浩子サンが連れていたのは一部で『幻の神姫』と呼ばれたゾンビ型。 ビジュアル面で恐ろしく一般受けしなかったために、最初期の流通分を除いて再販されなかったとかなんとか。 嘘か本当か知らんが、一部の好事家には垂涎の的らしい。 「ほーらモモコ。ご挨拶♪」 『モモコ』と呼ばれたゾンビ型神姫は、サイケに塗り分けられた頭を小刻みに揺らしつつ、カカカカカ…とアメリカンクラッカーでも鳴らしてるような音を立てた。 ……それが笑っているのだと気付くのに数分かかった。 「……か、可愛い、か……?」 …正直、俺にはよく解らなかった。 --- それから数日。夕方になると、俺は川原で下手糞な素振りを繰り返すサムライをぼーっと眺めるのが日課になっていた。 サムライの方もこちらに気付いているようで、しかし、特に話しかけてくることもなかった。 --- 「なぁ浩子サン、神姫ってのは電池かなんかで動いてんのか?」 「ん?うん。詳しいところは私もよく知らないんだけどね。ちょっと充電しなくてもケータイくらいはもつよ。」 …とすると、どっかで充電とかしてんのかな。あいつ。 「……ねぇ慎くん、その子さぁ、マスターとかそばにいなかった?」 「マスター?…所有者ってこと?……そういやそれっぽいのは見たことねぇなぁ。日が暮れたらさっさとどっか消えちまうし。」 「うーん…そっか…あのね?」 浩子サンが言うには、マスターのいない野良神姫ってのも意外に多く、所謂野良動物みたくロクな目に遭わんのだとか。 「…明日あたり聞いてみるか」 --- 更に翌日。 その日のサムライはたまたま休憩しているのか、小さな石に座っていた。 俺もちょっと離れたところに座る。 しばらくぼんやりと眺めていたが、動く気配がないので話しかけてみた。 「なぁサムライ、今日は素振りしねぇのかよ」 「ノらねぇ」 見事なまでに一刀両断。 結局彼女はなんもしないで消えていったので、俺もそのまま帰った。 しかし、それからはちょくちょく会話するようになった。 実は向こうもキッカケを待っていたのかも知れん…てのは自意識過剰なんだろうか。 …実際大したことは話していない。その日の天気とか何食ったかとかどこに行ったとか、そんなことだ。 あとは黙って夕日を眺めたりとかな。 傍から見ればロボット人形相手に世間話ってのも異様な光景だと思うが、不思議と俺自身は変に感じなかった。 多分、対等に話せる相手があんまいなかったってのもあるんだろう。 俺はあえてサムライのことは聞かなかったし、彼女も特に俺のことを聞かなかった。 互いの呼び方にしてもそうだ。 「…しっかし手前ぇ毎日毎日来やがって。そんなヒマあんなら働けよおっさん。」 彼女は俺を『おっさん』と呼び、俺は俺で『サムライ』と呼ぶ。 何故だか解らんが、お互い名乗りもしなかった。 「あんなぁ…ちったぁ息抜きくらいさせろよ。日がな一日埋まらねぇ原稿用紙とにらめっこしてんだこっちは。たまに外出ねぇとマジで腐っちまわ」 ここでサムライは、驚いたようにこっちを見た。 お、意外に可愛い…ってなに言ってんだ俺。 「おっさんアレか。物書きか。」 「まぁそうだ。大して売れてねぇけどな。」 「ふぅン…」 そして、また二人でぼーっと夕日を眺める。 しばらくして、サムライが言った。 「……実はアタシのマスターも元は物書きでな。時代小説とか好きな人だったよ。」 「……そーかい。」 ここで俺は、一瞬迷った。本当に迷った。 聞くべきか聞かざるべきか。 でもな。それでもやっぱり…… 「なぁ……前から気になってたんだけどな。」 「ん?」 「……お前さんのマスターとやらはどうしたんだ。」 サムライが息を呑んだ…ように思えた。 ……そして沈黙。 いいかげん静寂に耐えられず冗談だと言おうとしたら。 サムライが音もなく倒れていた。 SIDE-Bへ
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皆様、始めましテ。自分ハ第6弾建機型MMSグラップラップの試作機、ビルトと申しマス。只今自分ハ神姫センターの一角ニ有ル、とあル店舗ニ居リマス。 「さーさー、キモオタ共も婦女子諸君もよってらっしゃいですにゃ! うちは安さと品揃えじゃ他のツイヅイを許さないですのにゃ! ホラっ! 其処のこぎたにゃいアンタ、自分の神姫に甲斐性見せたって損は無いのですにゃよ?」 「小汚くって悪かったな、仕事帰りだよ。・・・あ、そういやシビルが何故かツナギなんて着たがってた覚えはあるけど、流石に・・・」 「あるですにゃ。ピンクのツナギだって完備完備!!」 自分ハ、武装神姫デ在りマス。つまりハ戦い合う為ニ開発されたタ機械でありマス。 「へえ、久しぶりに来て見たらこんなお店もあったのね。あ、これつくもに似合いそうな色のケープ。このストールとかロングスカートとか帽子も・・・」 「隊長ぉっ!! そんなものでお金使い切る前に、僕を早くメンテに連れて行って下さいよぉ!!」 「・・・何だか甘い匂いのする客だにゃ。店内への飲食物の持ち込みは止めて欲しいにゃ。試着の時ベタるから」 そしテ自分ハ建機型でありマス。建機と言えバ藤岡・・・でハ無ク、総じて無骨ナ外見ヲ有しマス。何故ならバその用途に見タ目は重要視されまセン。自分モそれニ習イ、見タ目ニ囚われズ何時か巡り合ウ自分ノ主の為ニ粉骨砕身すル所存デス。 「ったくネギの奴―、『俺は金出さないぞ。欲しかったら盗ってでも来い。俺はゴスロリ以外買う気は無い。そもそもゴスロリこそ、少女の魅力を最大に引き出すファッションでありetcetc・・・・』とか脳沸いた事言いやがってー! そんなに言うなら望みどおりにやってやるー! やっぱいいよなフライトジャケットはー」 「にゃに!? にゃーの目前で万引きするとはごっつええ度胸ですにゃ!! 行け下僕ぷちどもっ!! 泥棒カラスを北京ダックにするにゃ!!」 「後このスカジャンも・・・ あ? 何だこのぷち共はー。オレっちの邪魔を・・・」 「必殺にゃイツオブラウンドぉ~!!!」 射撃斬撃砲撃突撃爆撃襲撃狙撃打撃投撃鞭撃過激惨劇、盥。 「ぎゃー! まわってまわってまわってオチ~る~〈泣〉」 「・・・なのニどうしテ自分ハ服飾店ノ店員なドやって居ルのでしょウカ!?」 「新入り! つべこべ言ってにゃいで働くにゃ!! 手が多いからって使わなきゃムダムダにゃ!」 窓ヲ見れバ、人工光デ埋メ尽クされてイタ閉店時間。慣れヌ作業デ疲レ果てた自分ノ横デ、先輩はデコマ様よリ何かヲ受け取ル。在れハ、プリペイドカード? 「はいにゃーの助、バイト代だよ。新人教育の分、それとアレの分も含めて今日は多めにしておいたよ」 「さすがデコ魔ちゃん、あのヘタレと違って気前がいいですにゃ♪ これであのヘタレを素敵な刺激の旅へと誘えますにゃ♪ ぐふふふふ~♪」 「あはは、ほどほどにね。それじゃあ、お疲れ様。兄さんによろしく」 「お疲れにゃ! また猫の手が借りたくにゃったらいつでも呼ぶにゃ~♪」 言ウよリ早ク、先輩はカードを振リ回シながラ走り去って行っタ。もう見えナイ。しかシ神姫ニ・・・ 「さて、次は貴女の分を・・・」 「・・・神姫ニ、アルバイト代ヲ渡すノですカ?」 「え、変? だって正当な報酬じゃない?」 こノ人、こノ神姫用服飾店店長デ在リ、自分ヲ此処ヘ無断デ連れて来タ張本人で在ル彼女、通称デコマ様ハ、本当ニ不思議そうナ顔デ自分ヲ見つめ返ス。そんナ事、変ニ決まっテ居マス。 「労働基準法ニそんな項目ハ有りまセン。ソモソモ自分達ハ戦う為に造られタ武装神姫デス。其れガ人間の様ニ働くナド、可笑シイでショウ」 「えーでも、子供にお手伝い頼んだってお駄賃あげるのは普通じゃない? 別に正統さに法律関係ないよ。あ、でもお年玉とかたまに法で規制して欲しくなるな~。自分であげる様になってから切に思うよホント。それから役目が違うっていうのだってさ、副業で農家やるラーメン屋とか画材をアルバイトで買う画家とか・・あ、それは違う?じゃあ公務員・・はバイトしちゃいけないんだっけ。でも今じゃ公務員の給料下がりっぱなしだしバイトしないと食べてけないよねー。あ、そういえば昨日役所に行ったら丁度モトオさんがいてね、あ、モトオさんて私の恋人なんだけどコレがまた格好良くてね。でもそのとき手元を見たら貰っていたのが何とぜ・・・」 「兎モ角!! 自分ヲ開発部ニ返しテ下さイ!! ソモソモ何故ニ自分なのデスカ? 客引キでしタラ先輩ノ様ナ可愛らしいタイプを選定スレバ・・・イヤ其レ以前ニ・・・」 「でも建機型の貴女って腕いっぱいあるじゃない? だからいっぺんに服何個も持てて適材だと思ったの。それで貴女の開発会社に勤めてる友達の所に行ったの。そうしたら別会社だけど同じ第6弾試作2人は両方失踪した~って話してるじゃない? だから貴女もう一人くらい減っても大丈夫かなって思って。あ、でも皆会議やってたし、私も店の開店時間近かったから勝手に連れてきちゃったけど、ちゃんと断りの手紙は置いて来たよ。それにお給料は払うけど? そう言えば建機といえば土方子って娘がここのセンターによく来るの。今日はマスターだけ来てたけど。で、その土方子ちゃんも面白いんだよ。まああのカラーリングは重機と言うより猛獣注意・・・」 ソレニソレカラ彼是云々カンヌン・・・ト、デコマ様ハ矢継早ニ取り止めモ無ク話シ続ケル。この方ハ一度話し出したラ止まら無イらしイ。イヤそんナ事よりモ・・・ 「待って下サイ!! ソモソモ、どうしテ神姫ヲ雇用スル必要ガ在ルのデスカ!? 普通ハ人間ヲ雇用スルでしょウ!!」 「だってここ、神姫が自分の服買いに来る所だもの」 「・・・ハ? そんナ馬鹿ナ・・・アっ!!」 ソウ言えバ気ニなっテいまシタ。店内ノ通路ハ狭ク、小物陳列用什器ヲ改造したハンガー掛けハ店内ニ過密過ぎル程ニ配置さレ、奥まっタ場所ノ商品ハ完全ニ人間ノ目線からでハ死角ニなりマス。シカシ、ワザワザ神姫ガ手ニ取っテ見れル様、ソノ全てニ階段ガ用意されていマス。そしテ商品はパッケージングされずタグのミ、これハ明らかニ“玩具”でハ無ク“服飾”ノ陳列方法デス。更ニ、店内にハ神姫用試着コーナーすら有ル。 「・・・確かニ、神姫サイズに合わせタ服飾品点ト考えれバ、全テ合点ガ行きまス・・・」 「ついでにお値段も良心的でしょ? 神姫の貰えるお小遣いなんて大して高くないしね。布代は当然少ないし、“神姫用らしいある方法”でうちは製造コスト安いからこの値段で出せるの」 「しかシ、これハ・・・」 神姫ハ人間ニ従うモノ。神姫ハ人間ニ奉仕すル為ニ生まれタ機械。其レが義務。其レが目的。それなのニ・・・ 「神姫ガ自分ノ為ニ服を買うなんテ、全ク無意味デス!!」 「そお? でも奉仕するとか別にいいじゃないそんな事。私も好きでやってるんだよお店。色々な服作るのも見るのも好きだし、私の選んだ服で着飾った娘が喜ぶの見るの好きだし、色んな娘がワイワイ服選んでるの見てるだけだって楽しいし。大体オンナノコにとって服選びは一番楽しい事じゃない。その辺に体の大きい小さいは関係ないでしょ。だったら普段ココで気持ちよーくお買い物してたらバトルの時だって調子いいんじゃない? それにオーナーが自分の甲斐性見せるためのプレゼント用にって買いに来る場合もあるし、人間様にもそこそこ人気よ。あーそう言えば今度友達が作った神姫用の靴も販売するんだよココ。そしたらまた新しいお客さんも来るし、大体靴も合わせないと服って選びづらいし。あ、そうだ水着もあったら・・って、元々水着みたいなかっこうしてるか。じゃあ・・・」 「しかシっ!! 自分達ハ戦う為だけニ・・・造らレたモノなのデス」 「でも・・・だったらオンナノコの形に造らないでしょ。だからいいの♪ 小さかろうと大きかろうと、オンナノコが着飾りたいのは世の摂理よ!! それを邪魔なんて総理大臣だって出来ないでしょ♪」 「ハ・・ハイ・・・」 つまリ、女性であるなラ、着飾るのハ必然ニ近ク、それハ神姫であろうト変わら無イ。其れガこの方ノ考えらしイ。しかシ・・・ 「自分ハ、建機デス。見てくれなド、気にモ、されナイ・・・」 「じゃあ塗ろっか?」 「・・・ハイ?」 「実はずっと気になってたんだよね、そのアームの色。ちょっとジジくさいよねー。どうせならライムグリーンでどわ~って塗っちゃわない? バイオレットに白ストライプとかもちょっといいかも。あーラメもいいかもラメ。あとアクセ色々つけるとか? このアームに神姫用ブレス入るかなぁ? アンクレットの方が・・・あーそれは大きすぎかな。とりあえずリボンつけましょリボン。在庫はえっと・・・」 「イヤイヤイヤイヤ! 普通建機ニ其ノ様なビビットな配色ハ行わナイでショウ!!」 「そう? 似合うと思うけれど?」 「そうカモ知れマせんガ、しかシ・・・」 物にハそれなリノ根拠ガ有ルからこソ、配色ガ決めラレ、其れニ色を塗リ替えたとテ、其ノ本質マデ変えらレル訳でハ無いのデス。 「もー、カタいなあビルトは。いいじゃない見た目くらい好きでも」 そうハ言えド、例エ色如キを変えようトモ、自分ガ“機械”で在リ“建機”で在ル事にハ変わり無イのデス。其レでハ、只、虚しクなるだケ・・・ 「そもそも貴女って、建機“型”じゃない」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ア。」 「そう、つまり自分の好きな色でいいんじゃない?」 「・・・そンナ気ガして来まシタ」 「じゃあともかくリボンつけましょ。この深緑のとかどう?」 結、結、結、結、緑。 「・・・イイっ!!」 「イヤイヤ黄色に緑は悪趣味ですにゃ」 「ギャァっ!? 先輩!?」 「忘れ物取りに来たらナニ洗脳されてるにゃ新人。デコ魔ちゃんは別にあんたの事考えてるワケじゃにゃくて、単にヒトサマのモノだろーが神姫だろーがヒト自体だろーが気に入らにゃかったら徹底的に自分色に塗り替えちゃうだけな変人ですにゃ。ホラそこのヘンな色の壁とか道端にあった重機とか」 「えーでもこの前のロードローラーをレモンイエローに塗ったのは好評だったよ? ピンクも結構いいのよねピンク。ダンプ塗った時、赤系アクセントに入れたらカッコ良かったんだよねー、血が付いてるぽいって言われたけど。あーでも何でパールホワイトのバックホーは不評だったんだろう?・・・あ、汚れ目立つからだ。だったらシルバーを地にして、赤系でスリットを塗ったり~。でもこの前間違えて排気口ふさいじゃった事あったんだよね。あの時は結局機械が火を噴いて怒られた怒られた。だから・・・」 「塗ったンでスカ!? 重機を!?」 「え?うん。後放置自転車とかここのオーナーの車とか電車とかそれから・・・」 「イヤイヤイヤイヤ!! 器物損壊罪デスよ!!」 「それから・・・あれもこれもそれも・・・それで・・・」 「・・・聞いてテ居りマせんネ」 「新人、逃げるにゃら今のウチにゃ」 「うゥ・・・自分ハ一体何ヲ信じれバ良いのデショウ・・・」 「そんなもんにゃ、人生にゃんて」 ちゃんちゃん(?) 目次へ
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西暦2040年頃 主な舞台:日本国関東地区埼玉県埼玉市大宮等 日本国の現状について 1990年代から続いた不況と政治自体の低迷により、高度経済成長と呼ばれる時代もはるか過去のものとなり、 国家的にも経済的にも衰退の一途をたどっていた。そんな国家が2010年ごろの世界的な不況に対応できることもなく。 国の破滅に拍車をかけ、国家としての体をなさなくなっていった。そんな中、国民全員もようやく変革に向け動き出した。 さまざまな慣例を廃し、その頃世界に共通の影響力を発揮していた国連に管理をゆだね新たなスタートをきることになる。 2020年代後半にになり、国連の管理のもとようやく国として運営されるようになってきたが、海外に持ち出された様々な資産。混乱期に海外に流失した 技術も多く新たな産業を生み出せず、低迷期が続くことになる。 また、運営できるようになってきたとはいえ、いまだに国連の管理下であることに変わりはなく、政治・経済ともに国連からの監視の下で行われている。 法案・施策も国連の承認がなければ行えないなどの制約を受けている。 そんな低迷期の中、2030年代になり日本の企業が新しいアイデアとしてMMSの前身である小型人型ロボットの開発に成功する。この成功により、 この分野でついに世界をリードするようになる。そして2036年神姫が世に送り出されることになる。 神姫について 小型ロボットは開発当初から兵器転用の危険が言われており、独特な国柄からか全国民に浸透しているわけではなく、中年以上の年齢に敬遠している人が多い。 「武装」が販売されるようになってからその風潮が強まることもあったが、若年層を中心に広まり始めている。 武装して戦うだけでなく、舞踏や仮装。補佐まで様々な場面で活躍している。
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第七幕。上幕。 リン、リ・リィン、キィン・・・。 小さな鈴が、震え鳴るような高い音が聞こえます。それぞれが違う音。それぞれが自己主張。それぞれが私になろうとする音。 これは3つのCSCが、その駆動の最終確認をしている音です。互いに反響し、互いに自分を主張しあって、それでも一つの『音』になろうとしています。この音こそが、最初の私の声なんです。私が私自身である声です。 やがて音はゆっくり一つの音となり、少しずつ不協和音が消えて、宝石を弾くような静かで美しいキン、キン・・・という響きの、音の残滓だけが残ります。 各部とのCSCリンクを終了させると。起動音がゆっくりと鳴り始めます。最初、鳴動ともいうべき少し大きな振動が私の身体を揺らすように響き、やがて、それも静かな音に変わります。 自分の事をジブンであると認識していく感覚がさあっと風のように広がっていきます。 私はMMSタイプ『ジュビジー』・・・武装神姫の第四期タイプ『種型』です。 これから目覚めます。神姫として、ヒトのパートナーとして。この世界を生きていく事になるんですね。 私のオーナー・・・マスター、ご主人様。えっと。どう呼べば良いか解らないけど・・・どんな人なのかな? たくさんお話したいな。まずはご挨拶と・・・そう。名前をもらわなくちゃ。 ちょっと怖いけどバトルもやってみたいな。『武装神姫』として、せっかく生まれてくるんだから。 ・・・優しい人なら、いいな・・・。 ドキドキしながら、私は目を開けて。 ・・・。・・・? え? あれっ? 「・・・あれっ?」 『声』が近くから聞こえた。 少し元気が無いような、その小さく呟くような声。それは『少女』の声。 身体を何か柔らかな物に包まれ、握られているような感触から察するに・・・恐らくはその掌の中にいるのであろう『彼女』が、表に裏にと何度か手の中でくるくると回される。やがて先の声が困ったように、うーん・・・と少し唸るよに呟いて続けた。 「ねぇ、ママ。この子、起きないよ?」 「え?」 別の声。彼女は別の手にそっと渡された。今度は先ほどの手よりも表面が堅く、少し節が立っているのを感じる。 先のやり取りから思うに、恐らくは少女の『母』の手に渡ったのだろう。その手の中で再び裏返されたり、トントンと、胸を指で叩かれたりされている間も。彼女は必死で身体を動かそうとして、また、目を開けようとしていた。 だが。 「あらホント、おかしいわね?」 ぱさぱさと、紙をめくるような音。 「ん・・・」 「何も間違っていないのに」 自分の『身体であるもの』。自分の身体と認識しているボディ、ヘッドコア。その一切は彼女の意思に反応しない。再び別の手、先程に感じていた少女の手に彼女は渡される。 「うん・・・」 頑張っても頑張っても動かない、しょんぼりとしている彼女に聞こえた、少女のしょんぼりとした声。ややあって、母の声が尋ねた。 「・・・取り替えて、もらおっか?」 その声に彼女は大いに慌てた。 何とか、何とか『何か』を少しでも伝えようとする。が、瞼さえ動かず、指の一本も動いてくれない。 「・・・」 少女の沈黙が怖い。彼女は尚も身体を動かそうとするが。それは空しい努力に終わった。 しばらく頑張ってみたが、やがて諦め、がっくりと力を抜いた・・・とはいえ、その身体は全く変化していないのだが。 ・・・寂しいな。 初期不良・・・なのかな。 けど、まだ。逆に良かったかも。うん、誰と別れるわけでもないから・・・悲しくないです。 ちょっぴり。寂しいだけです。 私はマスター登録もされてないし。名前だってありません。今はまだ神姫になろうとしている、生まれていないモノなんです。 きっと故障が直ったら、私じゃない私になって、また目覚める事になるはずです。 無くす物なんて神姫は持ってません。 それに私は・・・まだ、思い出も無いから。悲しくなんて、ないです。 ? 何かくっついてる。 ・・・何だろう。これ。 何か不思議な感覚の物が背中から押し付けられていた。果たしてそれが何なのかと訝しがっていると裏返され、今度は胸から何かが押し付けられる。 ・・・暖かい。と思ったとき。彼女がびっくりするくらいに、凄く近い所から少女の声が聞こえた。 「ママ。この子、動いてるよ?」 そう、そうだ。これは、耳だ。 少女の耳が身体に押し付けられている。少女は、彼女の身体から響いている僅かな起動音を聞いているのだ。 「あら、ほんと?」 「うん、ブーンって音と・・・あと。何だろう?」 しばらくの沈黙。 「綺麗な音がする・・・」 それは今や完全に一つとなったCSCが、響いている音。 彼女が、必死に自分に気付いて欲しいと叫んでいる声だった。 しばらく、その音を聞いていた少女は、そのままで言葉を続けた。 「私・・・この子が良いな。直してもらっていい?」 「そう?」 「うん、私が選んだもん・・・」 その言葉に、CSCの音が響き渡る・・・とはいえそれは彼女自身の感覚に過ぎない。しかし、彼女の耳に届くほどに大きくなっているようにも思えるほどに。その宝石を思わせる美しい音は反響する。 胸が、高鳴っていた。 「・・・そうね。それじゃ、そのうち神姫のお医者さんに来てもらうわね」 ふっと。耳を押し付けられたまま、その顔が揺れたのを感じる。少女が表情を変えたのだろう。きっと。どんな表情を浮かべているか、それは解らない。けど。 耳から離されて、その両手でそっと抱かれる。先程よりもずっとずっと優しい声が彼女に語りかけた。 「よろしくね。私は遠野 弥生。・・・えっと。・・・うん、そうだ」 しばらく考えて、ヤヨイと名乗った少女の声が、その言葉を紡いだ。 「・・・マーチ」 マーチ? ・・・。 『マーチ』! それが、それが私の名前ですね! そしてヤヨイ・・・それがマスターの名前ですね? 確かにマスター登録を完了しました。これから宜しくお願いします! ・・・。そう、言いたいのに。 そう伝えたいのに。心から、そう伝えたいのに。 私の身体は少しも動いてくれません。 けど嬉しいです。マスターに・・・マスターに気付いてもらえました。 私が起動してるって事。私のCSCが動いているって事。私っていう、私が生まれている事。交換されなくて済むようです。マスターは私を直して、私をパートナーにしてくれるらしいです。 嬉しいな・・・。 けど・・・悲しいな。お顔も見れないなんて。 そう、悲しいです。さっきまで『悲しい』なんて少しも思わなかったのに。今はとてもとても悲しいです。 摂氏19度、外気は感じる事が出来ます。2036年12月1日のAM10時23分、クロックも正常に動いています。スペーサージョイント異常なし。バランサーシステム正常に可動。各部武装管制装置異常無し。 けど、けど・・・。 ボディも、ヘッドも全然動きません。 『喉』が揺れず、声も出せません。 『脚』も、それに『手』も動きません。 『眼』を開ける事も出来ません。 マスターのお顔が見たい。マスターとお話したい。「ありがとうございます」って言いたい。 けど、悲しんでばかりではいられません。マスターは『私が良い』って言ってくれました。私はマスターの神姫です。 マスター。いつか直ったときに、きっと、きっと伝えます。 Beautiful dreamer, wake unto me. Starlight and dewdrops are waiting for thee. Sounds of the rude world heard in the day... 流れる音楽はミュージックディスクだろう。 このクラシックな曲は、ヤヨイがお気に入りの曲なのだろうか? 一番良く流れている曲。その優しい旋律と、美しい声で奏でられる静かなテンポの歌が作るハーモニーは、マーチも大好きだった。 あの日からマーチはクレイドルに寝かされている。伝わってくる振動と起動音から考えると、きっと初期セットに同梱されている基本クレイドルだろう。それに、簡単なクッションを置いただけ。 毎朝、ヤヨイは「おはよう」とマーチに声をかけ、毎晩「おやすみ」と声をかける。それが近い所で聞こえるという事は、きっと・・・そう、『枕元』に自分がいるクレイドルは置かれているんだろうと。マーチは予想していた。 音楽にあわせるようなヤヨイのハミングと、紙を擦るような音が近くで聞こえる。 やがて、音が止むと、マーチの近くでコトンという音がする。 「マーチに、あげる」 嬉しそうにそう言う声。張りは少なく、少し疲れた感じのする声は・・・彼女の特徴なのだろうか。余り元気溌剌、明朗快活という性格ではないようだ。 当初は、そのように自分の隣に置かれる物、ヤヨイがくれる物が一体何なのか。その紙を擦る音が何であるか。全く解らなかったマーチであるが、日に一回、多くても二回ずつ、その音を聞いているうちに。それが何かを理解していた。 私、マーチがマスターの神姫になって。あっという間に一週間が経ちました。 マスターは、読書と・・・そして『折り紙』が趣味のようです。 読書のとき。ページをめくるスピードとかを考えると・・・うん。きっと文字の多い本を読んでらっしゃるんでしょう。小説とか、かな? 時々読みながら涙ぐんでいる声が聞こえるので・・・ちょっと感動屋なのかもしれません。 そして、夕方。いつものように折り紙をします。 マスターってとっても手馴れているんです。きっとたくさん、ちっちゃな頃から折ったんだろうな。テキパキと、けど、しっかりと折っているのが聞こえます。それを、私が来てからは、毎日一つずつ。私にくれるんです。『マーチが早く直るように』だって。千羽鶴みたい。 えっと、それが鶴かは解らないけど。 見えないけど、自分から触る事も出来ないけど・・・私の大切な宝物です。 私のお医者様も今日、いらっしゃいました。けど・・・故障が複雑で直すのは難しくて、この辺りでは専門の病院に行かなくちゃいけないようです。がっかりです・・・。 けど、マスターは「いつか連れて行ってあげるからね」と言って下さいました。とても嬉しかったです。 えっと、いつか。っていつだろう? ・・・。 ある朝。マーチが起きると・・・といっても、意識的に、だが。 しかし明らかに何かが変だった。 「おはよう」の声が聞こえない。それどころか、ヤヨイの寝息が聞こえる。いや、それは時折ヤヨイよりも彼女が先に『目覚めた』時にも確かに聞こえるのだが、その日のそれは何かくぐもったような息遣い。まるでマスクか何かを付けているような。そして、聞きなれない電子音。 部屋の中で、数人の話し声が聞こえる。一人はヤヨイの母。他は・・・良く知らない人達。その声調で深刻な話をしている事は薄々と感じる事が出来る。 発作・・・。難しい・・・。状態は・・・。 彼女は、その話の内容を聞いていたが。覚えようとしなかった。 理解しようともしなかった。連なるワードを聞く内に、何かが理解を拒んでいた。 やがて昼前になり。ヤヨイの寝息を、くぐもったような息遣いにしていた何かが外されて、いつもよりももっと疲れたような声で「おはよう」を聞いた時。彼女は意識から、それまであった事を全て・・・追い出した。 ・・・。 不思議な事が、あるんです。 マスターは、ほとんど・・・この空調の利いたお部屋から出ません。 いえ、時々静かになるとき、出て行ってらっしゃるかもしれません。 ・・・けど、いつのまにか近くで物音がして、マスターがそこにいるって解ります。長くても数時間くらい。・・・私、ベッドにいるって思っていたけど。マスターの声はよく近くで聞こえます。 あ、そうだ。学校はお休みなのかなぁ? ひょっとして、行って・・・らっしゃらないのかな。 お母様もいらっしゃる時と、そうでない時があります。どうしてだろう。お食事も・・・この部屋に運ばれてきているみたいです。 12月といえば冬。外は雪が降っているかもしれません。 ・・・だから。お外に出ないのかな。うん、きっとそうです。 時々。いえ、最近ほとんど毎日。お昼前に。 優しい声の男の人・・・お父様ではないようですが。その男の人に連れられて、お部屋から出て行かれる事があります。 けど、マスターは「はい」とお返事しますが・・・余り気乗りはしないようです。 どうしてだろう。あんなに優しい声なのに。何か嫌な事されるのかなぁ? けど。その男の人に、マスターが「よく頑張ったね」と声をかけられていた時がありました。マスターは返事をせずに、私の近くに座っているだけでした。 ・・・『頑張った』? 何を頑張ったのでしょう。お勉強かな。 もっと知りたい・・・マスターの事。けど。 何かが、それを・・・。 お母様が。朝早くからお出でになられた今日も、マスターが男の人と出て行かれました。お母様はお部屋に残ります。 「元気になったわね・・・ヤヨイ。嘘みたい」 お母様がぽつりと呟かれます。この部屋には私とお母様以外いません。きっと、私に話しかけていらっしゃいます。 ・・・元気に『なった』? 「先生にも当たらなくなったし」 当たる? 何を? 先生に? 『先生』・・・? 「貴女のおかげかしら? ・・・マーチ」 ・・・。 それは。 それは、どういう事ですか? どうしてですか? どうして私のおかげなんですか? マスターは、私が来るまで・・・元気がなかったのですか? お母様。 けど、私の口は動きません。私の目は閉じられたまま。 「ありがとう、ね」 そう言ったお母様の声は。 ・・・泣いておられました。 どうして・・・。 どうしてですか? ・・・。 いえ、きっと。 私は心のどこかで何かに気付いているんだと思います。 理性が理解を求めても。心が理解する事を・・・イヤイヤ! ってしているんだと、思います。 私は目覚めたい。 でも・・・知りたくない。 マスターに会いたい。 けど、この目を開けた時。マスターとお会いした時。 私は・・・。 「『何か』があれば。 きっと、きっと大丈夫。」 私のどこかで、私が言っています。 何か・・・それが何かは解りません。ただ、それがあれば・・・きっと。 マスターに、ご挨拶が出来るんです。 それが何か、私は。まだ、知りません。 Lull d by the moonlight have all pass d away. Beautiful dreamer, queen of my song. List while I woo thee with soft melody. Gone are the cares of life s busy throng. Beautiful dreamer, awake unto me... ・・・。 私は夢を、見続けています。 マスターと、お話する夢。 マスターと、一緒に歌う夢。 優しい風が吹く草原を、一緒に歩く夢を見ています。 私は、今日も。夢を見ます。 ・・・今は。 それしか出来ないから。 夢を描き続ける神姫がいる。 足早に冬が訪れ、全てを雪下に覆い隠す土地に。夢を見続ける神姫がいる。 目覚めれば消えゆく物。いつしか全てを識った時。 夢から覚めた彼女は、何を頼りにしながら、それを直視するのだろうか。 夢路より。何処に続くかさえ知らない道に立たされて。 何も持たぬ彼女は、何をもってして、全てを受け入れるのだろうか・・・。 北の大地、北海道。 そこには未だ・・・風は届かない。 第七幕。下幕。 第七間幕